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藤田 隆明; JT-60チーム
Nuclear Fusion, 46(3), p.S3 - S12, 2006/03
被引用回数:8 パーセンタイル:28.05(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおいては、加熱パワーの入射時間を10秒から30秒に伸長し、電流拡散時間を超え、壁飽和時間に近い時間スケールでのプラズマ特性の研究を開始した。加熱装置の入射時間は順調に伸長し、入射エネルギー350MJを達成した。規格化ベータ値2.3を22.3秒間維持するなど高ベータの維持時間を大幅に伸長した。また、負磁気シアプラズマ及び弱磁気シアプラズマにおいて、完全電流駆動に近い状態での高自発電流割合の維持時間も5.8秒及び7.4秒まで伸長した。いずれの場合も電流分布は定常状態に達し、高ベータ,高自発電流割合の長時間維持に明るい見通しを得た。長時間スケールでの制御性の研究のため、電流分布の実時間制御システムを構築し、低ベータプラズマで実証した。高密度放電を繰り返すことにより、壁の粒子吸蔵量が飽和する状態をJT-60で初めて得た。壁飽和状態でダイバータ排気による粒子制御を実証した。ダイバータ板へのパルス的な熱負荷のない静かなHモード(QHモード)を初めて表面のトロイダル回転がゼロに近い状態で実現した。
小川 宏明; 小川 俊英; 都筑 和泰; 川島 寿人; 河西 敏*; 柏 好敏; 長谷川 浩一; 鈴木 貞明; 柴田 孝俊; 三浦 幸俊; et al.
Fusion Science and Technology, 49(2), p.209 - 224, 2006/02
被引用回数:3 パーセンタイル:24.11(Nuclear Science & Technology)JFT-2Mでは、コンパクト・トロイド(CT)入射による先進的燃料補給法の開発を進めてきた。JFT-2Mの実験において、初めてHモードプラズマ中にCTを入射することに成功し、Hモードとの両立を確認した。その際の粒子補給効率として最大40%を得た。また、トカマク中でのCTの上下方向のシフトや反射といったトカマク磁場との相互作用に起因するCTの挙動を実験的に解明した。さらにCT入射直後に発生する磁気揺動の解析から、この揺動がCT磁場とトカマク磁場との磁気リコネクションを通じた粒子解放過程に関連することを明らかにした。同時に、入射装置の改良によるCTパラメータ(密度,速度)の向上や湾曲輸送管を用いたCT輸送実験を行い大型装置に適用する際の技術開発を進めた。
諫山 明彦; JT-60チーム
Physics of Plasmas, 12(5), p.056117_1 - 056117_10, 2005/05
被引用回数:28 パーセンタイル:65.7(Physics, Fluids & Plasmas)経済的な核融合炉を実現するためには高ベータプラズマを定常的に維持することが不可欠であり、そのためにはMHD不安定性を抑制することが重要である。JT-60では高Hモードプラズマ及び負磁気シアプラズマの高ベータ定常化研究を行い、以下の結果を得た。(a)高Hモードプラズマにおいて高ベータ化を阻害する新古典テアリング不安定性(NTM)の発生を圧力分布・電流分布の最適化で回避することによりを約6秒間維持することに成功した,(b)電子サイクロトロン波を入射してNTMを安定化することによりプラズマ性能を回復し、(, )を維持することに成功した,(c)負磁気シアプラズマでは,,自発電流割合75%の状態を7.4秒間維持することに成功した。負磁気シアプラズマではコラプスの発生により定常維持が阻害されるが、プラズマの回転の制御が定常維持に成功した要因の1つとして考えられる。さらに、JT-60では2003年に電源・加熱・計測等の改修を行い、65秒間の放電が可能となった。2004年前半の運転では、ITERの標準運転と同程度の規格化ベータ値()のプラズマを電流拡散時間の2倍以上に相当する24秒間維持することに世界で初めて成功した。この間、閉じ込め性能の大幅な劣化を引き起こす不安定性は発生しておらず、ほぼ一定の電流分布が維持されている。
浦野 創; 鎌田 裕; 滝塚 知典; Suttrop, W.*; Horton, L.*; Lang, P.*; 久保 博孝; 大山 直幸; 竹永 秀信; 朝倉 伸幸
プラズマ・核融合学会誌, 81(4), p.280 - 287, 2005/04
ELMy Hモードプラズマにおけるコア部エネルギー閉じ込め及びELMによるエネルギー損失に対するペデスタル構造の役割をJT-60UとASDEX Upgradeにおいて調べた。高密度領域で見られる閉じ込め劣化はELMで制限されるペデスタル温度の低下と温度分布の硬直性によって起きていることを明らかにした。高三角度または不純物入射Hモードでは、それぞれ周辺部MHD安定性の改善,密度分布の中心尖塔化によって高ペデスタル温度が得られることによって、中心部の高閉じ込めが実現されることがわかった。ELMのロスの上限値はペデスタル部のエネルギーで決まることがわかった。ELM間の熱輸送はペデスタル部での衝突周波数の増加とともに増大し、ELM自体による損失パワーは次第に減少することがわかった。ASDEX Upgradeにおいて、ペレット制御がコア部の閉じ込めを維持しながら、ELMのロスを低減させる有効な手法であることを明らかにした。
Kallenbach, A.*; 朝倉 伸幸; Kirk, A.*; Korotkov, A.*; Mahdavi, M. A.*; Mossessian, D.*; Porter, G. D.*
Journal of Nuclear Materials, 337-339, p.381 - 385, 2005/03
被引用回数:66 パーセンタイル:96.56(Materials Science, Multidisciplinary)ITPA活動で収集した周辺プラズマ分布のデータを利用して、6つのダイバータトカマクの典型的なELMyHモードについて、周辺輸送障壁での電子密度・温度分布,それらの勾配、及び最も急勾配になる領域の幅などに注目し、解析結果をまとめた。特に、セパラトリクスにおける密度は、高密度ダイバータ生成に重要な要因であり、ペデスタルにおける密度との比を比較し0.3-1まで広範囲で異なることがわかった。密度勾配の特性長に関して、中性粒子の密度や荷電交換反応の発生確率などのパラメータを設定し、スケーリングを行った。また、電子温度分布の勾配の特性長と急勾配領域の幅は、装置の主半径の大きさとともに増加することが明らかとなった。
浦野 創
JAERI-Research 2004-027, 131 Pages, 2005/02
Hモードプラズマのエネルギー閉じ込め特性のプラズマ密度依存性,プラズマ形状効果,不純物ガス導入の効果及びコアプラズマの熱流束の影響をそれぞれ解明した。また国際マルチマシンデータベースを用いて、JT-60UにおけるHモードの閉じ込め特性の他装置との比較を行った。高密度領域では、ペデスタル肩の温度の低下に伴って、コア部の温度勾配特性長を一定に保つように中心部温度が低下した。高三角度化及びアルゴン注入によるHモードについても、ペデスタル温度の上昇が炉心プラズマの閉じ込めを決定することがわかった。また炉心プラズマの熱流束が増加しても、温度勾配特性長を一定に保つように熱拡散係数が増大した。国際マルチマシンデータベースを用いた検討では、高三角度化が将来のトカマク炉において適した運転手法であることを示した。
朝倉 伸幸
Plasma Physics and Controlled Fusion, 46(12B), p.B335 - B347, 2004/12
被引用回数:18 パーセンタイル:51.27(Physics, Fluids & Plasmas)本発表では、最近のリミタ及びダイバータトカマクの長時間放電実験における周辺プラズマと対向材の水素吸着についてまとめる。特に、JT-60Uでは昨年度から長時間運転(最大65秒)を開始した。比較的高密度の高閉じ込めHモード放電を30秒間維持し、これを繰り返す実験を行い、ダイバータ及び第一壁の飽和現象とダイバータプラズマの変化を調べた。ダイバータ排気とともに多量の重水素ガスパフ(0.5と1.5g)を行った実験を続けたが、飽和現象は見られず、両者とも約半分の重水素がダイバータ部に吸着した。しかし、ダイバータ排気を停止した放電の後では吸着量は低下した。ダイバータ低温部(プライベート部)での吸着量が増加し飽和に近づいたと考えられる。さらに放電中の飽和現象もダイバータのプライベート部で観測された。局所的な粒子リサイクリング束と炭素発生の増加が観測されたが、30秒放電ではダイバータ全体の5-10%程度と小さい。しかし、ELMの性質が変化し、X点付近の周辺における中性粒子密度の増加あるいは、電流密度や圧力分布の変化により、周辺プラズマの閉じ込め特性が劣化すると考えられる。
石田 真一; JT-60チーム; JFT-2Mグループ
Physics of Plasmas, 11(5), p.2532 - 2542, 2004/05
被引用回数:22 パーセンタイル:57.92(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60UとJFT-2Mにおいて、経済性と環境適合性の高い魅力的な核融合炉を目指して進めている定常高ベータ化研究の成果を発表する。JT-60Uでは、bN=2.7の高ベータプラズマを7.4秒維持したが、その性能は新古典テアリングモード(NTM)で制限された。電子サイクロトロン波入射と電子温度揺動計測を組合せてNTMの実時間制御法を開発し、NTMの完全抑制に成功した。負イオン中性粒子入射を用いて高性能化を行い、完全電流駆動プラズマで世界最高の核融合積を達成した。23keVの高電子温度プラズマに電子サイクロトロン波電流駆動を行い、極めて高い電流駆動効率を達成した。JFT-2Mでは、真空容器内に低放射化フェライト鋼を全面に装着した後、内部輸送障壁を伴う閉じ込め改善により、bN=3.3に達する高ベータプラズマの生成に成功し、先進材料プラズマ適合性試験の見通しを得た。JT-60Uでは、2003年度の後半から、加熱時間を30秒へ伸長した実験を開始する。また、JFT-2Mでは2003年度の後半に、フェライト鋼壁がプラズマ安定性に及ぼす影響を調べる予定である。JT-60のコイルを超伝導化するJT-60定常高ベータ化計画は、トカマク国内重点化装置計画として科学技術・学術審議会で承認され、その詳細な検討を大学等との連携の下に進めている。
Saibene, G.*; 波多江 仰紀; Campbell, D. J.*; Cordey, J. G.*; la Luna, E. de.*; Giroud, C.*; Guenther, K.*; 鎌田 裕; Kempenaars, M. A. H.*; Loarte, A.*; et al.
Plasma Physics and Controlled Fusion, 46(5A), p.A195 - A205, 2004/05
被引用回数:10 パーセンタイル:32.04(Physics, Fluids & Plasmas)ITERにおけるHモードの周辺ペデスタル構造と周辺局在化モード(ELM)挙動の予測と制御手法の確立を目的とし、大型トカマク装置(JT-60及びJET(欧州))間の比較実験を初めて実施した。本論文は、その初期的な報告である。プラズマ断面形状、及びペデスタル部の輸送と安定性を支配する無次元量(ベータ値,規格化ラーマ半径,規格化衝突周波数)を一致させ、ペデスタル構造を比較した。ペデスタル部の幅に関しては、両装置でほぼ一致したが、周辺圧力及びその空間勾配は、JETがJT-60の約1.5倍であった。プラズマのアスペクト比が小さなJET装置での安定性が高い可能性がある。
嶋田 道也; Mukhovatov, V.*; Federici, G.*; Gribov, Y.*; Kukushkin, A.*; 村上 好樹*; Polevoi, A. R.*; Pustovitov, V. D.*; 仙石 盛夫; 杉原 正芳
Nuclear Fusion, 44(2), p.350 - 356, 2004/02
ITERの誘導運転において10以上のQを達成することの確実性をさらに向上させた。経験則による解析によると、ITERでは十分な裕度をもって10以上のQを達成できる。理論モデルを用いた解析によれば、10以上のQを達成するためには2-4keV以上の周辺ペデスタル温度が必要であるが、ペデスタルの比例則によると、この程度のペデスタル温度は達成可能である。タイプIのELMに伴う熱負荷は高密度運転によって許容範囲に低減できる可能性がある。もし必要であればダイバータ板をさらに傾斜させ、さらに熱流束密度を低減させることもできる。高密度側からペレット入射によってQを増加させELM熱負荷を低減できる可能性がある。また閉じ込め性能とベータ値への要求度がより少ない定常運転シナリオを開発した。このような運転領域で必要となる抵抗性壁モードの安定化は、真空容器が二重構造を持つことを考慮しても現有のコイル及び電源で実現可能であることを明らかにした。
嶋田 道也; Mukhovatov, V.*; Federici, G.*; Gribov, Y.*; Kukushkin, A. S.*; 村上 好樹*; Polevoi, A. R.*; Pustovitov, V. D.*; 仙石 盛夫; 杉原 正芳
Nuclear Fusion, 44(2), p.350 - 356, 2004/02
被引用回数:39 パーセンタイル:75.67(Physics, Fluids & Plasmas)ITERの誘導運転において10以上のQを達成することの確実性をさらに向上させた。経験則による解析によると、ITERでは十分な裕度をもって10以上のQを達成できる。理論モデルを用いた解析によれば、10以上のQを達成するためには3.2-5.3keV以上の周辺ペデスタル温度が必要であるが、ペデスタルの比例則によると、この程度のペデスタル温度は達成可能である。タイプIのELMに伴う熱負荷は高密度運転によって許容範囲に低減できる可能性がある。もし必要であればダイバータ板をさらに傾斜させ、さらに熱流束密度を低減させることもできる。高磁場側からペレット入射によってQを増加させELM熱負荷を低減できる可能性がある。また閉じ込め性能とベータ値への要求度がより少ない定常運転シナリオを開発した。このような運転領域で必要となる抵抗性壁モードの安定化は、真空容器が二重構造を持つことを考慮しても現有のコイル及び電源で実現可能であることを明らかにした。
諫山 明彦; 鎌田 裕; 林 伸彦; 鈴木 隆博; 及川 聡洋; 藤田 隆明; 福田 武司; 井手 俊介; 竹永 秀信; 牛草 健吉; et al.
Nuclear Fusion, 43(10), p.1272 - 1278, 2003/10
被引用回数:130 パーセンタイル:95.67(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uでは定常高 Hモード放電の最適化を行い、以下の結果を得た。(1)NNBを用いて完全非誘導電流駆動の下で核融合三重積310mskeV(世界最高値)を達成した。この結果は従来の結果を50%上回る。(2)規格化ベータ値が2.7のプラズマをNBや電源の機器限界に近い7.4秒間(エネルギー閉じ込め時間の約60倍)維持した。(3)高規格化ベータ値(=3.05)のプラズマをエネルギー閉じ込め時間の5倍の間維持した。(4)電流分布や圧力分布の最適化により新古典テアリングモードの発生を再現性よく抑制した。(5)電子温度揺動分布から磁気島中心を実時間で検出し電子サイクロトロン電流駆動を行うシステムを開発し、高ベータ領域(=1.1,=1.5)における新古典テアリングモードを完全に安定化した。安定化後ベータ値や閉じ込め改善度が上昇した。
諫山 明彦; 岩間 尚文*; 正和 武志*; 細田 陽介*; 伊世井 宣明; 石田 真一; 佐藤 正泰
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 42(9A), p.5787 - 5796, 2003/09
被引用回数:3 パーセンタイル:15.63(Physics, Applied)フーリエ変換分光装置(FTS)ではマイケルソン干渉計を用いて電子サイクロトロン放射(ECE)から電子温度分布を得ている。マイケルソン干渉計では走査鏡をスキャンする(走査時間:約20ms)ことにより干渉信号を得ていて、この間プラズマの電子温度は変化しないと仮定している。しかし、ELMy Hモードプラズマでは、ELMにより発生した非熱的放射パルス(パルス幅:100s程度)により干渉信号が歪み、電子温度分布測定が不可能になる。今回、非熱的放射パルスを検出・除去する手法を開発し、さらに、欠損の生じた干渉信号に最大エントロピー法(MEM)を適用して電子温度分布を得ることに成功した。また、最大エントロピー法を適用する際、スペクトルの平滑度を決めるパラメータ(「正規化パラメータ」)を最適化する必要があるが、今回は線形問題で用いられている最小GCV(GeneralizedCross Validation)規準を非線形問題であるMEMに適用した。その結果、最小GCV規準はMEMの正規化パラメータの決定に有用であることがわかった。今回開発した手法をJT-60U実験時の信号に適用した結果、一連のデータを放電間に自動処理できる可能性があることがわかった。
川島 寿人; 仙石 盛夫; 都筑 和泰; 小川 宏明; 木村 晴行
Journal of Nuclear Materials, 313-316, p.1338 - 1342, 2003/03
被引用回数:3 パーセンタイル:25.79(Materials Science, Multidisciplinary)JFT-2Mでは閉ダイバータ形状(CD2)において、Hモードと低温高密度ダイバータの両立性を示した。今回、閉ダイバータを構成する遮蔽板をすべて撤去し(開ダイバータ化:OD)、CD2と比較して、CD2の結果がダイバータ部の粒子保持力なら生じていることを明らかにした。ODでは、定常的Lモード中にダイバータ部に協力ガスパフした場合、中性粒子の主プラズマ側への逆流が2倍増大するとともに主放射損失域が主プラズマ側に移動して、CD2の場合とは対照的になった。Hモード中の強力ガスパフにおいても放射損失割合が急増し、早期にしきい値(Pred/Pin=0.6)を越えH/L遷移して、CD2のような低温高密度ダイバータとHモードの両立は困難だった。この後、JFT-2Mの放射損失レベルを低減するためボロナイゼーションを導入した。ジュール加熱の初期実験では、放射損失割合が50%低減された。今後の高密度高閉じ込め実験が期待される。
諫山 明彦; 長崎 百伸*; 井手 俊介; 福田 武司*; 鈴木 隆博; 関 正美; 森山 伸一; 池田 佳隆; JT-60チーム
AIP Conference Proceedings 694, p.321 - 324, 2003/00
高ベータトカマクプラズマにおいては自発電流により新古典テアリングモード(NTM)が発生する可能性がある。NTMは閉じ込め性能を劣化させるので、電子サイクロトロン(EC)加熱/電流駆動により安定化することを考えている。JT-60Uでは、電子温度揺動分布から磁気島中心を実時間で検出しEC電流駆動を行うシステムを開発し、高ベータ領域(, )における新古典テアリングモードを完全に安定化し、ベータ値や閉じ込め改善度を上昇させることに成功した。また,ECをNTM発生前に入射(「早期EC入射」と呼ぶ)したときのNTMの揺動レベル及び成長速度を調べた。その結果、早期EC入射によりNTMの揺動レベルや成長速度が抑えられることが明らかになった。
草間 義紀; JFT-2Mグループ
Proceedings of 30th EPS Conference on Controlled Fusion and Plasma Physics (CD-ROM), 4 Pages, 2003/00
JFT-2Mにおいては、原型炉の構造材料の有力な候補である低放射化フェライト鋼を真空容器内壁の全面に装着し、高性能プラズマと低放射化フェライト鋼との適合性に関する試験(先進材料プラズマ適合性試験)を進めている。これまでに、真空特性,プラズマ生成・制御等に対するフェライト鋼の影響,リップル損失の低減への効果はほぼ予測通りであり、また、従来とほぼ同じ性能の閉じ込め改善モード(Hモード)が得られることを確認した。さらに、定常運転に適した新しい運転モード(高リサイクリング定常Hモード)を発見し、内部輸送障壁と共存させることに成功して、JFT-2Mとしては最高の規格化ベータ値3.3を達成した。この高ベータ化の進展により、原型炉の運転で想定される高ベータ領域での研究を実施できる見通しが得られた。
福田 武司; 及川 聡洋; 竹治 智; 諫山 明彦; 河野 康則; 閨谷 譲; 長島 章; 西谷 健夫; 木島 滋; 玉井 広史; et al.
Fusion Science and Technology (JT-60 Special Issue), 42(2-3), p.357 - 367, 2002/09
被引用回数:7 パーセンタイル:44.35(Nuclear Science & Technology)核融合実験炉で高性能炉心プラズマを定常維持するためには、複数のプラズマ諸量を同時に実時間フィードバック制御する必要がある。本論文ではJT-60におけるプラズマの蓄積エネルギーや密度,温度等の実時間制御を目的とした研究開発の成果をまとめた。電子密度と中性子発生率の制御を用いた負磁気シア放電では、高い閉じ込め性能と規格化値を4.3秒間維持するとともに蓄積エネルギーの変化を動的に制御することによって世界最高の等価エネルギー増倍率を達成した。また、放射冷却ダイバータの生成と高い閉じ込め性能の両立を目指したダイバータの放射損失量と中性子発生率の複合制御実験を行い、応答行列を評価することによって各制御装置の寄与を定量化するとともに単純な組み合わせ制御の問題点を明らかにした。さらに、非制御量の非線形応答に注目して核融合炉心プラズマの制御に必要な先進制御の概念を提案した。
鎌田 裕; 藤田 隆明; 石田 真一; 菊池 満; 井手 俊介; 滝塚 知典; 白井 浩; 小出 芳彦; 福田 武司; 細金 延幸; et al.
Fusion Science and Technology (JT-60 Special Issue), 42(2-3), p.185 - 254, 2002/09
被引用回数:34 パーセンタイル:48.48(Nuclear Science & Technology)JT-60及びJT-60Uは、ITER及び定常トカマク炉実現へ向けた物理基盤を構築することを目的として、炉心級プラズマにおける高総合性能の実証とその維持を目指した運転概念の最適化を行って来た。等価核融合エネルギー増倍率(=1.25)や核融合積(=1.5E21 m-3skeV)の達成に加えて、高い総合性能(高閉じ込め&高ベータ&高自発電流割合&完全非誘導電流駆動)を実証した。これらは、内部及び周辺部に輸送障壁を持つ高ポロイダルベータHモード及び負磁気シアモードで得られた。最適化の鍵は分布及び形状制御である。多様な内部輸送障壁の発見に代表されるように、JT-60/JT-60U研究はプラズマ諸量の空間分布の自由度と制限を強調して来た。各閉じ込めモードの閉じ込め研究に加えて、輸送及び安定性等によって支配されるコア部及び周辺ペデスタル部のパラメータ相関を明らかにした。これらの研究により、高閉じ込めモードのITERへの適合性を実証するとともに残された研究課題を明らかにした。
福田 武司; 滝塚 知典; 藤田 隆明; 坂本 宜照; 鎌田 裕; 井手 俊介; 小出 芳彦; 竹永 秀信; 三浦 幸俊
Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(5A), p.A341 - A349, 2002/05
被引用回数:7 パーセンタイル:24.31(Physics, Fluids & Plasmas)核融合実験装置における定常運転では、高い自発電流成分に加えて優れた閉じ込め性能と安定性が要求されることから、内部輸送障壁が存在する下でさらにプラズマ周辺部に輸送障壁を形成し、Hモード状態を得る必要がある。しかしながら、優れた閉じ込め性能を発揮する内部輸送障壁の存在によってプラズマ周辺部に到達する加熱入力が低減し、プラズマ周辺部の密度が顕著に低下する。その結果、Hモード遷移に必要な加熱入力が既存の比例則から予測される値よりも高くなることが最近のJT-60における実験で明らかになった。一方、Hモードプラズマでは、一般に内部輸送障壁の形成に必要な加熱入力が高くなる。本論文では、Hモード遷移の鍵を握るプラズマ周辺部の密度と温度に注目して、内部輸送障壁とHモードが同時に形成・維持される条件について実験的に調べた結果を報告する。
鎌田 裕; 竹永 秀信; 諫山 明彦; 波多江 仰紀; 浦野 創*; 久保 博孝; 滝塚 知典; 三浦 幸俊
Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(5A), p.A279 - A286, 2002/05
被引用回数:77 パーセンタイル:89.73(Physics, Fluids & Plasmas)高三角度化及びペレット入射による高 ELMy Hモードの性能向上と、それを支えるペデスタル構造について報告する。高三角度化により、高閉じ込め・高規格化ベータ完全非誘導電流駆動プラズマを、瞬間ダイバータ熱流束の小さなGrassy ELMy Hモードと共存させることに成功するとともに、負イオン源NNB入射により、高HHファクターHH=1.2,高規格化ベータ=3をグリンワルド密度指数60%で達成した。また、連続固体水素ペレット入射により、高閉じ込めが得られる密度上限を伸長した。このとき、通常のガス供給法と比べて、同密度で3倍も高い周辺温度が得られた。周辺ペデスタル部の圧力限界がポロイダル値とともに改善されることを見いだし、コア部からペデスタル部を含む全領域における分布の観点からHモードプラズマの性能決定プロセスを明らかにした。